英仏海峡の湿り気を含んだ風が、
なだらかな丘を撫でるように吹いてくるノルマンディー地方。
今日もリンゴの木の下でのんびりと草を喰んでいる乳牛は、
季節に応じた上質のミルクを恵んでくれます。
丸い形で知られるカマンベール。
そのふたを開けますと、熟成を促す白カビが白い花を思わせ、
すっぱいフルーツの香りが漂ってきます。
人差し指でそっと押してみてください。
ソフトな感触が、しっとりとした舌触りを感じさせます。
こんなやさしいカマンベールが、
フランス大革命(18世紀後半)の時に生まれたなんて驚きです。
そう、革命に反対したお坊さんが、ある日、
パリ地方・ブリBrieの修道院から、カマンベール村に逃げてきたのです。
そして、親切にかくまってくれた村の娘マリー・アレル(Marie Harel)に、
おいしいチーズの作り方を伝授したのでした。
人よりも牛の方が多いカマンベールの村は、ひっそりとしています。
でも近くの集散地ヴィムチエー(Vimoutiers)の町には、
牛の像が祭られ、マリー・アレルの像まで立てられています。
この像は、
「カマンベールは、美味しくて健康に良い。医者は要らないだろう」
と感心したアメリカのドクターが寄贈してくれたものです。
上質のカマンベールは、生牛乳を大サジですくって作る手作りの味。
日本ではなかなか手に入らず、高くつくものです。
カマンベールはノルマンディー5つの県で生産されていますが、
カマンベール村のあるオージュの国 Pays d’Auge が揺籃の地です。
1 件のコメント:
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
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