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2007年4月19日木曜日

チーズ小話


















チーズをくわえて枝に止まっているカラスから、
何とかしてチーズをものにしようとするキツネの話は、
フランス人が一番好きな寓話です。

パリ16区の公園の一隅に、
作者のラ・フォンテーヌ(17世紀)と
件のカラスとキツネの彫刻を見つけました(写真)。

暴力を使わず、脅し文句も言わずに、
見事にチーズをものにしたキツネさん。
カラスの輝くような羽を褒めたあと、
「歌がうまければ、あなたは森のフェニックス。」と殺し文句を放ちました。
そこで、おだてられたカラスは歌を唄ってしまったのです。

この寓話から、子供たちへの教訓は
「甘い言葉に気を付けましょう。」という事ですが、
もう大人になった私達は、
「人の長所を探して、まず評価しましょう。」と
「きれいな言葉を、きれいに並べて話しましょう。」
という教訓を引き出せるのではないでしょうか。
そうすれば、交際や商売はきっとうまく行くことでしょう。

2007年4月13日金曜日

クロッタン


















フロマージュの旅は南下して、ロワール河を越えます。
日本人がまだ馴れていない、
山羊(シェーブルChevre)のチーズの旅が始まります。

ロワール地方は、百年戦争(14-15世紀)で、
フランス王が戴冠式を挙げずに逃げてきたところです。
王は、まずブルジュ(Bourges)に陣取りましたので、
「ブルジュの王」と揶揄されていました。
そこにジャンヌ・ダルクが助けに参じたわけですが、
戦後、ロワールの国にはルネッサンス文化の花が咲き、
数々の名城を生みました。

シャヴィニョールは、
ブルジュから40kmほどのところにある小さな村ですが、
ロワール地方を代表する山羊のチーズ、
クロッタン・ドゥ・シャヴィニョールの中心地として知られています。

形は小さな円筒で、まるでピンポン玉のようです。
仕上げ工程(affinage)は最低10日間が原則で、
表面を白カビや青カビが覆っていきます。
お勧めはペニシリンカビの着いた硬いシャヴィニョール。
半硬質を味わいますとキノコや森の香りがし、
硬質になりますとクルミやハシバミの味わいがあります。
硬いチーズが口の中でとろけてゆくときは、
なんともいえない美味しさで、やがてのどの渇きを覚えます。
こんな時、銘酒を醸造する隣り村
サンセール(Sancerre)の赤ワインが欲しくなります。

2007年4月9日月曜日

ナフシャテル


















ノルマンディー3大チーズ、カマンベール、リヴァロ、ポンレヴェックの
影にかくれて知名度は低いのですが、
形がハートの形をしていて、人の心を惹き付けているチーズがあります。
ナフシャテルです。
ナフシャテルの町は人口5千人ほどで、
パリから北西に140kmほどのところにあり、
町から40km車で走りますと、そこには絶景の海岸風景が広がっています。

伝説によりますと、ハート型のチーズができたのは、
百年戦争(14-15世紀)のころ、
村の娘たちが、イギリスの兵士たちに
自分の気持を伝えたいために作ったということです。
白いハートのチーズをもらったイギリス兵は、
きっと勇んで出陣したことでしょう。

思いを寄せている人に、
ナフシャテルのチーズと赤ワインをプレゼントしたら、
相手はきっとあなたの思いに気が付いてくれることでしょう。

2007年4月7日土曜日

リヴァロ


















リヴァロの特徴は何と言っても
四本のテープで円型チーズを巻いていることです。
そしてオレンジ色をしています。
ノルマンディー三大チーズの中では
日本人に最も手強い味と香りの相手です。
味わってゆくごとに、もっと強烈なものを欲しがらせるチーズ。
そんなチーズにピッタリのリヴァロ。
箱からはみ出すぐらいに元気なリヴァロは、
葦から作る四本のテープで縛られています。
それは陸軍大佐の徽章に似ていますので、
コロネル(大佐)と呼ばれています。
栄養素あふれるリヴァロは、19世紀には<貧者の食肉>と言われ、
食卓で最も愛されていました。
中世の時代から作られているリヴァロは、
リジュー(Lisieux)の南にある小さな村リヴァロから生まれました。

2007年4月5日木曜日

ポン・レヴェック


















ノルマンディー三大チーズの一つ、ポン・レヴェック(lePont-Eveque)を
チーズ屋さんで見つけるのは比較的簡単です。
正方形の形をしているからです。
もともとフロマージュ(チーズ)の語源は、フォルムformeから来ていますので、
チーズの形はユニフォームではありません。
いろんな村や地方が形を工夫して特徴を出そうと努力していますが、
ポンレ・ヴェックは正方形ですので、
形としては珍しく、比較的目立つタイプです。

パリから高速13号線を190kmほど走りますと
パリジャンが好むリゾートタウン、ドーヴィル(Dauville)、
ツルーヴィル(Trouville)方面に出ます。
そのルート上にある4千人ほどの小さな町が、ポンレヴェックです。
ポンは<橋>、レヴェックとは<司教>のことですので、
このチーズにはかなりの歴史があることを感じさせます。
実際、このチーズは13世紀を代表する小説
「Le Roman de la Rose」に紹介されているほどです。

一ヵ月半に及ぶ塩漬け、そして洗浄あるいはブラッシングの加工過程で
味や色が決まります。
ポン・レヴェックは日本人好みのしつこくない、やさしい味覚です。
表の柔らかい、オーカー色か金色っぽい黄色のポン・レヴェックを
お選びになれば食卓できっと満足なさるでしょう。
旬は乳牛が春草を喰んだあとの6月からで、3月半ばまで続きます。

ポン・レヴェックの村を訪問した後、
リッチなパリジャンたちの別荘が並ぶノルマンディーの海岸散策はお勧めです。

2007年4月3日火曜日

カマンベール




英仏海峡の湿り気を含んだ風が、
なだらかな丘を撫でるように吹いてくるノルマンディー地方。
今日もリンゴの木の下でのんびりと草を喰んでいる乳牛は、
季節に応じた上質のミルクを恵んでくれます。

丸い形で知られるカマンベール。
そのふたを開けますと、熟成を促す白カビが白い花を思わせ、
すっぱいフルーツの香りが漂ってきます。
人差し指でそっと押してみてください。
ソフトな感触が、しっとりとした舌触りを感じさせます。

こんなやさしいカマンベールが、
フランス大革命(18世紀後半)の時に生まれたなんて驚きです。
そう、革命に反対したお坊さんが、ある日、
パリ地方・ブリBrieの修道院から、カマンベール村に逃げてきたのです。
そして、親切にかくまってくれた村の娘マリー・アレル(Marie Harel)に、
おいしいチーズの作り方を伝授したのでした。
人よりも牛の方が多いカマンベールの村は、ひっそりとしています。
でも近くの集散地ヴィムチエー(Vimoutiers)の町には、
牛の像が祭られ、マリー・アレルの像まで立てられています。
この像は、
「カマンベールは、美味しくて健康に良い。医者は要らないだろう」
と感心したアメリカのドクターが寄贈してくれたものです。

上質のカマンベールは、生牛乳を大サジですくって作る手作りの味。
日本ではなかなか手に入らず、高くつくものです。
カマンベールはノルマンディー5つの県で生産されていますが、
カマンベール村のあるオージュの国 Pays d’Auge が揺籃の地です。

2007年4月1日日曜日

ボンジュール



















日本の皆様、ボンジュール!お元気ですか?

日本には、世界のあらゆるものが在ると
思っていらっしゃるかもしれませんが、一つだけないものがあります。
フランスでは、どこにでもあるものなのです。
それはフロマージュ(Fromage)の店、そうチーズ屋さんです。

さあ、遠慮せずにお店にお入りください!
チーズ屋さんに入ると、
フランスの地方や村の香りがお店いっぱいに満ちています。
こんな小さなお店の中で、フランスの旅ができるのです。
これから一緒に、フランスの地図を拡げて、
フロマージュの旅をしてみませんか?
チーズにはカルシウムがいっぱい!
お子様は虫歯にならず、背はグングン伸びるでしょう。
そして、あなたもきっと元気になりますよ。

さあ、これからフランスを歩いてみましょう!
フロマージュを味わいながら。